2013年6月2日日曜日

備忘録 rolex の主なムーヴメントの変遷

元々商社であった rolex は、1930年代までは、外部からエボーシュを調達し、徹底的な調整を行いケーシングしていた。
1931年 cal.620NA 以降、積極的に自社設計によるムーブメントを採用していった。


1. 手巻きムーヴメント
(1)cal.600系
 1922年~
 直径22.00mm
 石数:15石
 パワーリザーブ:約42時間
 18000振動
 600: manual wind, sub second, 9.75'''

(2)cal.700系
 直径23.35mm
 石数:15石
 18000振動

 700: sub second
 710: sweep second

(3)cal.11xx系
・cal.1130
 19800振動 直径20.00mm

・cal.1166
 19800振動 直径20.00mm

(4)cal.12xx系
 自動巻きの1030や15xx系(後述)は傑作ムーヴメントとして名高い。
 1030や15xx系は、マニュアルのcal.12xx系をベースにパペチュアル機能を付けたもの。
 その意味で、cal.12xx系は rolexの基礎を築いたムーヴメントと言える

・cal.1210
 1954年~
 直径23.20mm
 石数:17石
 パワーリザーブ:約58時間
 18000振動
 チラネジテンプを採用

・cal.1215
 cal.1210 + 日付機能
 直径23.20mm
 石数:17石
 パワーリザーブ:約58時間
 18000振動

・cal.1220
 直径22.30mm
 石数:17石
 パワーリザーブ:約58時間
 21600振動
 cal.1210 より大径のスムーズテンプを採用

・cal.1225
  cal.1220 + 日付機能
 直径22.30mm
 石数:17石
 パワーリザーブ:約58時間
 21600振動

(5)cal.16xx系
・cal.1600
 1964年~
 直径20.80mm
 2針
 石数:17石
 パワーリザーブ:約48時間
 19800振動

・cal.1601
 直径20.80mm
 2針
 石数:19石
 パワーリザーブ:約48時間
 21800振動

2. 3針自動巻きムーヴメント
※1リーニュ=12分の1インチ=2.2558291ミリメートル

(1)11 3/4リーニュ系
 1931年~1950年
 手巻のCal.600に自動巻追加。
 セミバブルバック

 ・Cal.620NA
  automatic, sub second

 ・Cal.630NA
  automatic, sweep second
  620のセンターセコンド

 ・Cal.635(A260)
  1940年代~1950年代
  automatic, sub second, Shock-Resist
  厚みが7.5 から 6.5に減る
  調整機構:緩急針
  テンプ耐震装置:なし
  石数:20石
  ノンクロノメーター
  パワーリザーブ:48時間
  振動数:18000振動

 ・Cal.645(A260)
  automatic, sweep second, Shock-Resist
   Cal.635のセンターセコンド
  緩急針の調整用窓ができる
  モノレックス耐衝撃機構

(2)13リーニュ系
 1940年~1952年
 手巻のCal.700に自動巻追加。
 セミバブルバック

 ・Cal.720(A295)

 ・A296
  1940年代~1950年代
  調整機構:緩急針
  テンプ耐震装置:なし
  石数:18石
  クロノメーター
   Ref.6150はノンクロノメーター
  パワーリザーブ:48時間
  18000振動
  ローターの厚みが1mm程減らされた。
  ローターが1段階から2段階の
  「ダブルアングルスロープ」に変更。

 ・Cal.730

 ・Cal.740

(3)12 1/2リーニュ系
 1950年~1989年
 手巻+自動巻
 ①1030系
  1950年
  手巻のCal.1210に自動巻追加

  ・Cal.1030
   1950年代~1960年代
   調整機構:緩急針
   テンプ耐震装置:フラワーキフ
   石数:25石
   クロノメーター
    Ref.6536は一部を除きノンクロノメーター
   パワーリザーブ:48時間
   18000振動
   双方向巻上方式
   搭載︰Explorer, Submariner, OP

 ②1530/1570系
  1957年~1989年
  手巻の Cal.1210 に自動巻追加。
  15xx のおかげでクロノメーター合格数は飛躍的に増加
  1960年代前半に5万未満だったが、
  1971年には20万を超えている

 ・Cal.1530
  1958年~1965年
  調整機構:暖急針+ミーンタイムスクリュー
  テンプ耐震装置:キフ・ウルトラフレックス
  石数:17・26石(25石)
  ノンクロノメーター
  (cal.1560 のノンクロノメーター版)
  パワーリザーブ:36時間
  18000振動
  搭載:Air-King, Submariner

 ・Cal.1520
  1963年頃~1980年代
  調整機構:緩急針
  テンプ耐震装置:キフ・ウルトラフレックス
  石数:26石
  ノンクロノメーター
  パワーリザーブ:約48時間
  19800振動
  cal.1530 の後継
  搭載:Air-King, Submariner

 ・Cal.1560
  1965年~1970年代
  調整機構:マイクロステラスクリュー
  テンプ耐震装置:フラワーキフ
  石数:26石
  クロノメーター
  パワーリザーブ:約44時間
  18000振動
  Cal.1530 のクロノメーター仕様
  従来の緩急針調整からマイクロステラ方式に変更
  搭載:Explorer, Submariner, OP

 ・cal.1570
  1965年頃~1980年代後半
  これぞ名機と言われる。
  メンテナンスしやすく、精度を出しやすい。
  更には部品の入手も容易。
  調整機構:マイクロステラスクリュー
  テンプ耐震装置:キフ・ウルトラフレックス
  石数:26石
  クロノメーター
  パワーリザーブ:約48時間
  19800振動
  Cal.1520 のクロノメーター仕様
  搭載:Explorer, Submariner, OP

(4)12 1/2リーニュ系
 自動巻専用機
 ①3000系
  手巻に自動巻機能を付加するのではなく、最初
  から自動巻として設計したムーヴメント。
  ヒゲの加工精度が悪い、外部委託による設計等
  巷では散々な評価。
  ETA の影響を大きく受けている。

 ・Cal.3000
  1970年~2001年
  調整機構:マイクロステラスクリュー
  テンプ耐震装置:キフ・ウルトラフレックス
  石数:27石
  クロノメーター
   Ref.14270、Ref.14203のみクロノメーター
  パワーリザーブ:約48時間
  28800振動
  デイト付きCal.3035をベースにノンデイト仕様へ変更
  搭載:Air-King, Explorer, Submariner

 ②3100系
  温度の影響を受けないヒゲ等 3000系の欠点を克服。
  時計業界最高のムーヴメントと称される

 ・Cal.3130
  2000年~
  調整機構:マイクロステラナット
  テンプ耐震装置:キフ・ウルトラフレックス
  石数:31石
  クロノメーター
  パワーリザーブ:48時間
  28800振動
  Cal.3000の後継。ノンデイト。
  ツーブリッジ方式のテンプ受け。
  搭載:Air-King, Explorer, Submariner

 ・cal.3132
  2010年~
  調整機構:マイクロステラナット
  テンプ耐震装置:
   パラフレックス・ショックアブソーバー
  石数:31石
  クロノメーター
  パワーリザーブ:48時間
  28800振動
  cal.3130 の後継
  搭載:Explorer, Cellini Time

 ③3200系
 ・cal.3230
  2020年〜
  駆動方式:自動巻き
  石数:31石
  クロノメーター
  パワーリザーブ:70時間
  28800振動
  cal.3130 の後継
  搭載:Submariner, Explorer

  cal.3235 をベースとしている

3. DATE、GMT自動巻きムーヴメント
(1)700系
 ・Cal.745
  740+デイト表示

(2)1030系
 ・Cal.1035
  1030+デイト表示
  搭載:OP DATE

 ・cal.1065
・cal.1066
  1950年代
  調整機構:緩急針+ミーンタイムスクリュー
  テンプ耐震装置:フラワーキフ
  石数:25石
  クロノメーター
  パワーリザーブ:48時間
  18000振動
  Cal.1030と同じ基本構造
  搭載:GMT

(3)1570系
 前述の通り名機と言われている

 ・cal.1575
  石数:26石
  クロノメーター
  パワーリザーブ:約48時間
  19800振動
  l570+デイト表示
  搭載:OP Date, Datejust, Sea-Dweller,
     GMT, Explorer II, Submariner

(4)3000系
 前述の通り巷では散々な評価

 ・Cal.3035
  1977年~1988年
  調整機構:マイクロステラスクリュー
  テンプ耐震装置:キフ・ウルトラフレックス
  石数:27石
  クロノメーター
  パワーリザーブ:約48時間
  28800振動
  Cal.1570の19,800振動から28,800振動へ進化。
  カレンダーの単独調整が可能となり、操作性が向上
  搭載:Datejust, Sea-Dweller,Submariner

 ・cal.3075
  1980年~1988年頃
  調整機構:マイクロステラスクリュー
  テンプ耐震装置:キフ・ウルトラフレックス
  石数:27石
  クロノメーター
  パワーリザーブ:48時間
  28800振動
  Cal.1575の後継。
  生産期間が約8年とCal.3075は特に短命。
  デイト付きムーブメントCal.3035がベース。
  24時間針を搭載し、GMT機能が追加された
  搭載:GMT

 ・cal.3085
  1983年~1988年頃
  調整機構:マイクロステラスクリュー
  テンプ耐震装置:キフ・ウルトラフレックス
  石数:27石
  クロノメーター
  パワーリザーブ:約48時間
  28800振動
  Cal.3035の後継。短針単独駆動が特徴である。
  シングルブリッジ仕様のCal.3000系の中でも高性能
  搭載:GMT II, Explorer II

(5)3100系
 前述の通り時計業界最高のムーヴメントと称される

 ・Cal.3135
  1989年~
  調整機構:マイクロステラナット
  テンプ耐震装置:キフ・ウルトラフレックス
  石数:31石
  クロノメーター
  パワーリザーブ:48時間
  28800振動
  Cal.3035を大きく改良。
  ツーブリッジ方式のテンプ受け
  搭載:OP Date, Datejust, Submariner,
     Sea-Dweller, Yacht-Master,
     Sea-Dweller Deepsea

 ・cal.3175
  1990年頃~1999年
  調整機構:マイクロステラナット
  テンプ耐震装置:キフ・ウルトラフレックス
  石数:31石
  クロノメーター
  パワーリザーブ:48時間
  28800振動
  Cal.3075の後継
  ツインブリッジへ変更された
  搭載:GMT

 ・cal.3185
  1990年~2007年頃
  駆動方式:自動巻き
  調整機構:マイクロステラナット
  テンプ耐震装置:キフ・ウルトラフレックス
  石数:31石
  クロノメーター
  パワーリザーブ:48時間
  28800振動
  Cal.3085の後継
  ツインブリッジへ変更された
  搭載:GMT II, Explorer II

 ・cal.3186
  2005年~
  調整機構:マイクロステラナット
  テンプ耐震装置:キフ・ウルトラフレックス
  石数:31石
  クロノメーター
  パワーリザーブ:約48時間
  28800振動
  cal.3185 の後継
  搭載:GMT II, Explorer II

 ・cal.3187
  2011年~
  調整機構:マイクロステラナット
  テンプ耐震装置:パラフレックス
  石数:31石
  クロノメーター
  パワーリザーブ:約48時間
  28800振動
  cal.3186 の後継
  搭載:Explorer II

(6)3200系
 3100系が更に進化。
 精度、パワーリザーブ、耐衝撃性、耐磁性の向上
 ・cal.3235
  2016年〜
  駆動方式:自動巻き
  石数:31石
  クロノメーター
  パワーリザーブ:約70時間
  28800振動
  いつでも日付変更が可能
  搭載:Datejust, Sea-Dweller, Sea-Dweller Deepsea

 ・cal.3285
  2018年〜
  駆動方式:自動巻き
  石数:31石
  クロノメーター
  パワーリザーブ:約70時間
  28800振動
  搭載:GMT II, Explorer II
 
4. クロノグラフ手巻きムーヴメント
・cal.72B
 1960年代前半~1960年代中頃
 ベースムーブメント:バルジュー社製Cal.72
 調整機構:マイクロステラスクリュー
 テンプ耐震装置:キフショック
 石数:17石
 ノンクロノメーター
 パワーリザーブ:約50時間
 18000振動

・cal.722-1
 1960年代前半~1960年代中頃
 ベースムーブメント:バルジュー社製Cal.72
 調整機構:マイクロステラスクリュー
 テンプ耐震装置:キフショック
 石数:17石
 ノンクロノメーター
 パワーリザーブ:約50時間
 18000振動
 Cal.72Bのマイナーチェンジ機種

・cal.727
 1960年中頃~1980年代後半
 ベースムーブメント:バルジュー社製Cal.72
 調整機構:マイクロステラスクリュー
 テンプ耐震装置:キフ・ウルトラフレックス
 石数:17石
 クロノメーター
 パワーリザーブ:約50時間
 21600振動
 Cal.722-1の後継機

5. クロノグラフ自動巻きムーヴメント
・cal.4030
 1988年~2000年
 ベースムーブメント:
  ゼニス社製Cal.400(エル・プリメロ)
 調整機構:マイクロステラナット
 テンプ耐震装置:キフ・ウルトラフレックス
 石数:31石
 クロノメーター
 パワーリザーブ:約52時間
 28800振動
 テンプを大型化。
 テンプ内側のアーム数を2本から4本。
 耐久性に優れたゼンマイを採用。
 36,000振動を28,800振動まで落とし耐久性を高めた

・cal.4130
 2000年~
 調整機構:マイクロステラナット
 テンプ耐震装置:キフ・ウルトラフレックス
 石数:44石
 クロノメーター
 パワーリザーブ:72時間
 28800振動
 ロレックス技術陣の悲願、完全自社生産クロノグラフムーブメント

6. その他、デイデイト、耐磁は省略

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