2015年3月4日水曜日

アクアスキュータム トレンチコート その2

(※アクアスキュータム トレンチコート購入の記事はこちら

1985年に銀座壱番館で購入したアクアスキュータムのトレンチコート。
問題が一つあった。裏地はあるものの、コットン一枚なので、気温が低い時期は寒いのだ。カサブランカのボギーよろしく、「男は我慢」と渋く構えれば良いのだろうが、寒いものは寒い。防寒具なのだから本末転倒。
購入時にライナー付きを選択すべきだったと後悔した。
新しくライナー付きのトレンチコートを購入する手もあるが、折角馴染んできたのに勿体無い。
そこでライナーを付けることにした。アクアスキュータムがレナウンに買収されるちょっと前のことだ。
壱番館へ持ち込み依頼。ウールのライナーを付けることにした。
コートの裏地にボタンを付け、取り外し可能なライナーとした。そこそこのコートが一着買える値段だったが、愛着のあるコートを気持ち良く着るための決断。
その時、壱番館の方は怪訝な顔をしていた。確かに、コートを一着買えるくらいのお金を払ってまで、ライナーを付けるなんて馬鹿げてる。後に、レナウンに買収され、アクアスキュータムの品質が低下したと噂される中、壱番館へ伺った事がある。わざわざライナーを付けてまで、この貴重な英国製コートを着続けようとする気持ちを、その時ご理解頂けたと思う。
まさに世界に一着だけのトレンチコートとなった訳である。

ちなみに、その時壱番館を訪れた理由は、袖の補修のためだ。
トレンチコートは使っている内に、袖や裾が擦り切れてしまう。補修が必要だ。補修と言っても詰めるだけ。従って、補修をする度に袖や丈が短くなっていく。コートは消耗品。死ぬまでに使い切れれば良い。
ハンフリー・ボガートも一代限り。

ライナー。ポケット部分はきちんと穴があいている

ライナーはボタンで着装



袖は詰めて修復

擦れた箇所も糸で修復


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